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活動報告

ザンビア研修(2016年度)のご報告


[写真1]チブルマ(Chibulma)鉱山

[写真2]「エスニック・ポリティクス」をテーマとしたセミナーのプレゼンテーション

[写真3]ダグ・ハマーショルド記念館におけるレクチャー

[写真4]ザンビア国会議事堂前で

平成28年10月31日(月)から11月7日(月)までの8日間の日程で、ザンビア研修「平和と安全保障スタディ・プログラム」が実施されました。未来共生プログラムの学内プログラム担当教員である、ヴァ―ジル・ホーキンス准教授〔OSIPP〕を中心に企画されたこの研修には、プログラム第2期生の崔美善さん〔医学系研究科・医学専攻〕、第4期生の神谷千織さん〔医学系研究科・保健学専攻〕、佐々木美和さん〔人間科学研究科〕の3名が参加しました。
 未来共生プログラムは、コッパーベルト大学(Copperbelt University, CBU)のダグ・ハマーショルド平和研究所(Dag Hammarskjöld Institute for Peace Studies, DHIPS)内に、サテライトオフィスを設置しています。第4回目となる今回の研修は、「エスニック・ポリティクス」(Ethnic Politics)というテーマのもと、DHIPSと合同でセミナーとスタディ・ツアーを開催しました。
 ザンビア1日目、DHIPSの院生・教員を含めたわたしたち一行は、キトウェ(Kitwe)近郊のチブルマ(Chibulma)鉱山を見学しました。厳重なセキュリティチェックを受けて施設内に入場、担当者から鉱山についての説明を受けた後、鉱山内を見学しました。DHIPの同行者のなかには銅採掘に伴う環境汚染や、鉱山会社と周辺コミュニティとのコンフリクトを専門に研究している院生もおり、担当者との質疑応答では数々の鋭い質問が飛んでいました。

 同日の午後には、「エスニック・ポリティクス」をテーマとしたDHIPSと大阪大学との合同セミナーが開催されました。本プログラムの履修生たちもそれぞれテーマに沿ったプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションのタイトルは以下の通りです:

・崔 美善:Ethnic Minority Policy of the People’s Republic of China
・神谷 千織:Childbearing in Japan for Mothers of Culturally and Linguistically Diverse Backgrounds
・佐々木 美和:Ethnic Groups in Japan: A focus on the Ainu People

 ザンビア2日目、CBUのキャンパスや大学関連施設を見学後、ンドラ(Ndola)にあるダグ・ハマーショルド記念館を訪れました。1960年、隣国コンゴでの動乱を調停するために国連事務総長ダグ・ハマーショルドが調停会議地であるンドラを目指していました。しかし到着寸前に搭乗機が墜落、ハマーショルドも死亡しました。わたしたちは、同館の担当者から、この事故の背景にある国際情勢について詳細な説明を受けました。
 
ザンビア3日目からは首都ルサカでの活動となりました。この日は午前中にザンビア国会議事堂を訪れ、平和と安全保障の懇談会に陪席した後、国会を見学しました。
 午後からは、ワールドビジョンなどの国際NGOが合同で開催した集中ワークショップの報告会に出席しました。報告会では、カフエ郡チランガ地区(Chilanga, Kafue)が抱えるさまざまな問題について、コミュニティレベルでの解決策が提示されました。履修生たちは自身の研究的関心に一致する団体ブースでその活動の詳細について積極的に尋ねるなど、交流を深めていました。

[写真5]国際NGOの合同集中ワークショップ

[写真6]国際NGOの合同集中ワークショップ

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ザンビア滞在4日目は、午前中にザンビア国立博物館を見学しました。ここでは、考古学的資料から現代アートまで、幅広い展示が行われています。常設展示の多くを占める歴史展示では、「ザンビア」として1964年に独立する以前の保護領時代や「北ローデシア」としての植民地時代についての解説だけでなく、独立後の政治状況についてもわかりやすく説明されており、現在のザンビアをより深く理解することができました。

[写真7]ザンビア国立博物館を見学

[写真8]自身が印刷を手掛けた学術雑誌を持つ、AfriprintのBwalyaさん

 午後からはルサカで活躍する若手企業家を訪問しました。Emmanuel Bwalyaさんが経営する総合印刷会社Afriprintは、大阪大学国際公共政策研究科のほか、南部アフリカの3大学が参加する研究ネットワーク、Southern African Center for Collaboration for Peace and Securityの発行する学術雑誌の印刷を手掛けています。事業拡大のため新オフィスに移ったばかりのBwalyaさんから、ザンビアの印刷ビジネスの現状について説明を受け、社内を見学しました。

 ザンビア研修最終日には、早朝からチャワマ地区(Chawama)にあるカトリック教会での日曜礼拝に参加しました。多数の信者を抱えるこの教会では、午前1回目の礼拝は英語、2回目の礼拝は地域言語であるニャンジャ語(Nyanja)で行われています。英語礼拝終了後、教会の外にはこの日のために装った数多くの人びとが次の礼拝の開始を待ちわびていました。
こうしてわたしたち一行は、今年度のザンビア研修の全日程を無事に終了しました。研修を通じて、ザンビアの主要産品である銅をめぐって起こる、大小さまざまなコンフリクトの存在に目を向けるだけでなく、都市部における新興ビジネスの活気に触れるなど、ザンビア社会の両面を知ることができました。また、CBUとの合同セミナーやカトリック教会では、多民族、多文化、多言語状況のなかで、実際に社会がどのように動いているかについて、身をもって学ぶことができました。世界的に排外主義が顕著になってきた昨今、「マルチカルチュラル」な社会の実現を目指すのは、これまで以上に難しくなっているかもしれません。それでも、今回の研修で見聞きしたことのなかに、確実にそのヒントがあるような気がしてなりません。

(2017年3月3日, 神田)

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