ホーム > 活動案内・報告 > 活動報告 > トロント海外研修2017(ケンジントンマーケット班からのご報告)

活動報告

トロント海外研修2017(ケンジントンマーケット班からのご報告)


 4月26日から5月8日の日程でカナダ・トロント大学を拠点に4期生のフィールド研修が行われました。現地では3班に分かれて活動しましたが、ケンジントンマーケット班の冨安皓行さん(人間科学研究科博士前期課程2年)からのご報告です。

フィールドトリップから見えた「多様性」

[写真1]ケンジントンマーケットのカラフルな家たち

[写真2]ホームレス支援のコミュニティにて

私たち3班はケンジントンマーケットにてフィールドトリップを行い、そこで観察したことから多文化主義と私たちのいう共生について考えていきました。

ケンジントンマーケットはトロントの中心に位置しています。インターネットでケンジントンマーケットと調べてみると、様々な言語で「いろいろな文化が入り混じっている楽しい市場」と紹介されているものの、事前に紹介された文献を読んでみると、ケンジントンマーケットの多文化のイメージについて様々な指摘が見られます。そのような中、私たちのフィールドトリップが始まりました。

マーケットに入ってみると、様々な「文化」を表しているお店や、様々な人たちが実際にその場所にいたように感じました。確かにその空間は、「作られた」ものであるとしても、日本では見られない「多文化」が存在しているように感じました。私たちも実際にたくさんのお店に入り、ご飯や飲み物を食べながらそこで楽しみました。

またそれだけではなく、フィールドトリップの中で観察したのは、ケンジントンマーケットにあるのは様々な「文化」だけではなく、様々な経済状況を持つ人たちの存在でした。あるカフェを観察していると、そこでテイクアウトを頼む人たちは作業着を来た男の人たちであり、横に目をやると、新聞のクイズを解いている髭を生やしっぱなしにしているおじいさんがおり、その奥にはブランド物の服を来た男性がパソコンで作業をしていました。街の北側には、ホームレスの人たちが無料で食事や福祉のサービスを受けられる施設があり、たくさんの人たちが無料の昼食を取っている姿を目にしました。彼らは「ケンジントンマーケット」のある空間で、別々に存在しているように思いました。観察と共に行ったインタビューでは、カナダの多文化主義に対しての誇りを語る人や、旅行者としてのケンジントンマーケットの面白さを語る人、そしてケンジントンマーケットの地価が上がっており、将来的にケンジントンマーケットから追い出されてしまうという不安を語ってくださった人もいました。

このように、ケンジントンマーケットという一つの地区においてたった2日間そこにいただけでも、生活に満足している者の声、生活に不満を持つ者の声などが重層的に見られます。もちろん私たちが観察したのは2日間という限られた時間であり、直接彼らに経済状況を質問したわけではありません。またこれらを一般化することはそもそも不可能だと言えるでしょう。けれども、彼らの着ている服、話し方、匂いなど五感を使った「私たちの観察」では、ケンジントンマーケットのある空間にあった多様性は、文化の多様性だけではなく、そこにいる人の多様な経済状況でもありました。そしてその多様な経済状況が、ある一つの場に存在している空間が、ケンジントンマーケットなのだと感じました。貴重な機会を頂きありがとうございました。

 

(2017年5月25日, 冨安, 澤井, 金, 王一瓊)

« 活動報告 一覧へ戻る