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活動報告

東北フィールドワークのご報告:南三陸班(8月2日〜10日)


[写真1]事前の勉強会

 コミュニティ・ラーニングの一貫で、一昨年、昨年に続き、2015年も履修生が南三陸班、野田村班、気仙沼班の3班に分かれて東北フィールドワークを行いました。

 南三陸班では、昨年度より宮城県南三陸町志津川地区における「志津川小学校避難所保存プロジェクト」の取り組みに参加しています。東日本大震災の地震と津波によって志津川地区は壊滅的な被害を被りました。

 志津川小学校は南三陸町志津川地区における避難所のひとつです。しかし、避難所といっても充分な物資や設備があったわけではありませんでした。さらに、本来は避難所をまとめることになるであろう行政機構が甚大な被害を受けたことで、住民が避難所を運営することになりました。それでもなお、志津川小学校避難所が混乱なく運営されたのは「自治会」の手腕が絶妙だったからです。

 震災から五年。薄れゆく避難所での記憶と散逸する資料を整理するため、「志津川小学校避難所保存プロジェクト」は結成されました。その目的は、震災時の経験や体験を保存し、その教訓を後世に残すことです。

 そして、未来共生プログラムでは、コミュニティ・ラーニング南三陸班として「志津川小学校避難所保存プロジェクト」に参加し、資料を収集・整理するだけでなく、当時の記憶を聞き取る作業に取り組んでいます。特に昨年から(1)散在している資料の整理(2)当時の記憶の聞きとりに従事してきました。

 昨年度の活動では避難所の「全容」を明らかにすることに力点を置きました。今年度はより「深く」当時の様子を聞き取る作業に従事しました。そのため、今年度の活動は「昨年度の聞き取り」データの読み込みからはじめました。履修生にとってははじめての東北であり、はじめての調査経験となりました。現地のお手伝いをしながらも「社会科学の調査手法を学ぶ」というのも本プログラムの目的のひとつでもあります。

[写真2]初日のワークショップ

 フィールドワーク初日には実際に避難所を運営した人々にご参集いただき、当時の記憶を振り返りながら、教訓として後年に残すべきものを探りだすためのワークショップを実施しました。

 2日目からは現地のフィールドワークとインタビュー調査を行いました。そして延べ19人に対して、1時間から2時間のインタビューを実施しました。一人で記憶を振り返るだけでなく、対話しながら当時の様子が浮かび上がるように心がけました。

 特に、今年度は昨年度インタビューした方に改めてお話をお伺いしました。そうすることで、いっそう深い語りを聞くことができました。

 毎晩、深夜まで聞き取った話のまとめをおこないました。こうした聞きとりやまとめの作業を通じて「資料を読むことではわからない、現実の人々にお話を聞くダイナミズム」を感じる履修生もいました。

[写真3]2日目のフィールドワーク①

[写真4]2日目のフィールドワーク②

 当時の記憶を聞き取るだけでなく、現在のお話も伺いました。志津川町は、沿岸部のかさ上げ工事が本格化しています。昨年と比べても町の様子は随分変化しました。志津川は住宅地を高台に移動する予定です。着々と作業が進む一方で、すでに震災から五年。町外への人口流出は止まらず。また、仮住まいの「仮設住宅」からの転居が進むことで、仮設住宅街の空洞化も見られるようになったと伺いました。

 東北フィールドワークは、東日本大震災以降の被災状況を見聞するためのプログラムですが、こうした復旧期からすこしずつ東北は新しい時期へと移行しつつあるのではないでしょうか。新しい街づくりのなかで、新しい「共生」の課題が芽吹いています。そうした変化を感じる夏のフィールドワークでした。

[写真5]聞き取りの様子

[写真6]変わりゆく志津川の町並み

 

(2015年9月20日, 山本)

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