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活動報告

未来共生履修生企画セミナー「地元からジモトへ――日常的実践を他者化する方法論」のご報告


2017年12月16日(土) に未来共生履修生企画セミナー「地元からジモトへ――日常的実践を他者化する方法論」が開催されました。一期生の尾﨑俊也さん(人間科学研究科博士後期課程3年)が中心となって企画がなされ、フィールド調査の現場における葛藤や難しさ、社会問題や差別を扱う研究の方法や立場性について議論しました。以下、尾﨑さんからです。

方法論をめぐる研究会を終えて

[写真 1]セミナー開催中の様子

未来共生履修生企画セミナー「地元からジモトへ――日常的実践を他者化する方法論」を昨年12月に開催しました。このセミナーでは、講師に川端浩平先生(福島大学准教授)をお招きし、社会科学的研究の調査方法や研究の立場性などについて議論を深めました。まず、川端先生に、ご報告いただきました。研究者としての来歴、ジモト・岡山の在日コミュニティに関する研究の方法論と視座について解説いただきました。その後の参加者とのディスカッションでは、個別の質問に留まらず、それぞれが目下取り組んでいる研究の苦悩や戸惑いを含め、より深い議論が行われました。

参加者の多くが、フィールドワークや聞き取り調査を行っていることもあり、研究を実践し生み出していく過程で、感じている事柄が大きなテーマになりました。川端先生の研究には、身の回りにあるような見慣れた風景を見慣れないものにしていく視点があります。しかし、身近な人間関係を含むジモトでの調査には、さまざまな障壁が伴います。ディスカッションは、このような研究を行っていく上で直面する難しさに関してはもちろんのこと、このほか、量的研究に質的研究の発想はどのように取り入れられるのか、実際に地元が調査対象になること、差別的な集団と研究者はどのように向き合うのか、など議論はさまざまな観点に及びました。

川端先生のお話の中で、調査における「迫力」や、研究の「強度」というのがひとつのテーマとして出ました。川端先生自身、調査の過程で、迫力のある情報に出会っても、研究の枠組みから逸れるので、論文に記述しなかった事柄も少なくないということでした。ただ一方で研究の成果を生み出すという意味では無意味な見聞も、研究の強度を高め、ある情報の背後で説得性をもたらすものとして捉えることができると学びました。

[写真 2]閉会後、参加者の集合写真

成果ということだけではなく、つぶさに現実を表すものを見つめていかなければならないと実感しました。差別や排除を扱う未来共生プログラムにおいて、方法論的な問いは極めて重要なものです。履修生それぞれの問いとしても、深めていかなければならないものだと思います。私は未来共生プログラム一期生として、フィールドに出る経験をたくさんしてきました。その経験から、社会問題を扱うときに、研究者の立場性、倫理、方法論などについて丹念に考える必要があると感じてきました。質的研究の方法は、結局人間と人間の相互作用のなかで生まれるものなので、流動的で正解はないと考えられます。状況や人との関係で、聞き出されることや見るものも大きく変わってきます。したがって、繰り返しそのことと向き合うことで、多様な視点が生まれてくる必要があるのだと思います。最後に、今回のセミナーで、講師を快く引き受けていただいた川端先生、また協力いただいた方に感謝申し上げます。

(2018年1月12日, 尾﨑)

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