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活動報告

公共サービス・ラーニングの成果報告会


[写真1]成果報告会の会場の様子

 桜も咲き始める2015年3月27日(金)、大阪大学中之島センターにおいて「公共サービス・ラーニング」の成果報告会が行われました。2期履修生の皆さんは1年次後期、NPO法人や学校、行政機関などで週1回のインターンシップを行ってきました。成果報告会ではその成果を受け入れ先の皆様の前で報告させて頂きました。そのためか、履修生のみならず、教員も緊張気味でした。

 未来共生プログラムは、現場に出て学ぶということを重視しますが、1年次後期はこの「公共サービス・ラーニング」を特に重点的に行います。ここでは、いくつかの履修生の報告と受け入れ先の皆様からのコメントを紹介できればと思います。受け入れ先の皆様、「公共サービス・ラーニング」では履修生ともども、お世話になりました。また、成果報告会にお越しくださり、そして、素晴らしいコメントをくださいまして、ありがとうございました。

受け入れ先:NVNAD(日本災害救援ボランティアネットワーク)
          高原耕平[文学研究科・博士前期課程1年]

[写真2]NVNADで活動した高原耕平さんの発表

[写真3]高原さんの発表を受けてコメントくださる
寺本弘伸氏(NVNAD)

 高原耕平さん(文学研究科博士前期課程1年)はNVNAD(日本災害救援ボランティアネットワーク)で活動しました。NVNADは災害ボランティアのコーディネートをしている団体です。高原さんによると「災害が実際に起こったとき、ボランティアに行こうという気持ちになるものの、実際にボランティアに行くにはハードルが高いと感じることもあります。そうしたときにNVNADさんに電話すれば、『じゃあ、一緒に行きましょうか』と、被災地にボランティアへ行くことを助けてくれる、そのハードルを下げてくれる団体」です。

 NVNADの始まりは20年前の阪神淡路大震災の時です。そのときにたくさんのボランティア団体が被災地である西宮市にやってきたのですが、物資、情報などの面で各団体同士の協調の難しさもあり、各ボランティア団体の協調体制を築く目的で作られた団体が現在のNVNADの前身となりました。

 高原さんは現場で学んだことのうち、今回の報告では特にNVNADで『20年の歩み』という資料をまとめさせていただいたことを取り上げました。阪神・淡路大震災20周年を迎え、NVNADではこれまでの20年間の活動を振り返るというイベントを催したのですが、その際の配布用として資料を作らせていただいたそうです。その過程で学んだことの1つとしては、NPOの経営・運営は本当に大変だということを挙げました。NPOは営利企業でないため、市場で売れているモノを作るというわけにはいかず、そのNPOの理念を元に活動していかなければならない。また、公的な業務を行うからといって行政機関でもなく、財政的に確実なバックボーンがあるわけではない。そうした状況で活動と理念を維持していかなければならないことが大変だと感じた、と報告しました。

 高原さんの報告を受けて、NVNADの寺本弘伸氏からは次のようなコメントをいただきました。「素晴らしい発表ありがとうございました。約4ヶ月で29回来ていただきました。事務所で我々がやることをなにかやりましょか、と一度も言ったことがなく、我々の流れを見ながら働いてくれたのが良かった。また、『20年の歩み』というものを作ってくださった。我々が20年かかって一度も作れなかったのだけど、こういうものを作ってくれて、我々の財産になった。研究も大切だけれども、現場も考えながら、研究と現場を行ったり来たりしながらやって欲しい」。高原さんの学びにもつながり、また活動もお役に立てたようでした。

受け入れ先:枚方市保健センター
          三好裕貴[医学系研究科保健学専攻・博士前期課程1年]

[写真4]枚方市保健センターで活動した三好さんの発表

 三好裕貴さん(医学系研究科保健学専攻博⼠前期課程1年) は、枚⽅市⽴保健センターに受け⼊れていただきました。三好さんは⼤学院に⼊るまで5年間、助産師として働いていた経験があり、とくにハイリスクの患者さんを⽀援する病院で勤務していました。その際に、在留外国⼈の患者さんに出会うことも多く、そのような経験もあり、⽇本語の通じない患者さんと⼊院時にどのようにコミュニケーションをとるか、また、そのような患者さんをどのように退院後に⽀援するか、といった問題意識を持つようになりました。⼀般的に、病院と保健センターの連携を密にすることの必要性が医療関係者の中での認識にあるようですが、これまで三好さんは病院での勤務経験はあったものの、保健センターでの⽀援については具体的にはわからなかったそうです。

 枚⽅市がとくに素晴らしい点は、枚⽅市が外国⼈⽀援として、生活面の資料の外国語翻訳、また、医療通訳の推進に⼒を⼊れていること、があります。枚方市保健センターで特徴的なことは、隣接する市立ひらかた病院で出産した産婦に対し、保健師が全数面接し、退院後に向けた継続的な支援が受けられることです。また退院後、育児が難しい、不安が強い、少し休みたい時に、必要に応じて、育児をゆっくり楽しむことができる産後ケアの制度があるということです。三好さんは今回の活動で4か月児・1歳6か月児健康診査の介助と問診票の翻訳をしました。とくに、問診時以外での、保健師さんの「お⺟さん」に対する接し⽅が⾮常 に勉強になったとのことでした。

 枚⽅市⽴保健センターの担当者の⽅から、次のようなコメントを書⾯で頂戴いたしました。「三好さんはいつも笑顔 で、⾮常に好感を持ちました。市の職員も⾼く評価していました。三好さんが実習に来られたことにより、在留外国⼈の⽅とのコミュニケーションに対して以前よりも深く考えるようになりました。ありがとうございました」。三好さんは助産師の経験を⽣かた活動をされたようでした。

受け入れ先:コリア国際学園
          金素謍[言語文化研究科・博士前期課程1年]

 金素謍(キム・ソイエ)さん(言語文化研究科・博士前期課程1年)は半年間、コリア国際学園(KIS)でインターンシップをしました。コリア国際学園はコリアをルーツに持つ学生の多いインターナショナルスクールで、従来の民族学校でもなく、もっと先を見据えたあらゆる境界を越えて新しい価値を生み出すような『越境人』の育成を目指している学校です。金さん自身も韓国出身であるため、その点でKISの生徒たちに親近感を感じ、また、生徒も金さんに親近感を持ってくれたそうです。活動では、日本語が得意でない生徒の日本語の指導などをしましたが、指導という形では生徒との接点は限定的だったそうです。

 インターンでKISで活動してはいるものの、「曖昧な私の存在というのが浮かび上がりました。先生でもないし、生徒でもない。私の居場所・役割について考えるようになりました」と金さんは言います。インターンの期間中、「曖昧な私の存在」から何ができるのだろうかと、色々悩んだそうです。勉強できることは多くあったが、自分が何をKISに返せているのだろうか、との無力感に悩まされることもあったそうです。金さんは普段は積極的に人と話すそうですが、KISではそのようにせず、なるべく待つように心掛け、自分から話しに行くときと待つときのバランスを考えながら学生さんと接するように心掛けた、と報告していました。

 コリア国際学園の事務局長の宋悟(ソン・オ)氏がコメントしてくださいました。「子どもとの直接的な接点を結びたいと伺っていました。ですが、最初は図書館の大量の仕分け作業、その次が大量の広報誌の送付作業、またその次も。なぜそうなったのかと言えば、KISがおおざっぱだからというのもあります。ですが、一見無意味なことの中に意義があることもあるのではないかと言うこともあります。どのような組織でも常に感動の嵐があるわけではなく、実は地道な作業の積み重ね。人との小さな約束を守ること、小さな事でも報告すること、全体の中で信頼関係を作っていくこと、これらのことを作業から学んで頂きたかったような気も致します。素謍さんはふわっとした雰囲気を持っているので、みんなと良い信頼関係を築いてもらえました。目に見えることだけ、数値化できることだけ、視覚化できることだけ、ではなく、目に見えないモノをより一生懸命見ようとする、そう言う研究者になっていただきたいです」。金さんは活動の中で様々な葛藤を持ちながらも、一生懸命頑張ったことを受け入れ先の方々から認めて頂いていたようでした。

[写真5]コリア国際学園で活動した金素謍さんの発表

[写真6]金さんの発表を受けてコメントくださる
宋悟氏(コリア国際学園)

受け入れ先(順不同)

豊中市立野畑小学校、大阪市立南小学校、茨木市立郡山小学校、大阪市立長池小学校、北大阪朝鮮初中級学校、コリア国際学園、大阪府立西成高校、大阪府立門真なみはや高等学校、ヒューライツ大阪、大阪市男女いきいき財団、とよなか男女共同参画推進センター、NPO法人 多言語センターFACIL・ワールド・キッズ・コミュニティ、NPO法人 プラス・アーツ、フェアトレード雑貨 エスペーロ、豊中市社会福祉協議会、大阪市港区役所 恊働まちづくり支援課、大阪人権博物館 リバティおおさか、NPO法人 ウィズアス、NPO法人ラブとよネット、とよなか国際交流協会、関西沖縄文庫、日本災害支援ボランティアネットワーク、MASHOSAKA dista、枚方市保健センター、豊川いのち・愛・夢センター、NPO法人こえとことばとこころの部屋COCOROOM

 

*履修生の学年は2014年度のものです。

 

(2015年4月17日, 平尾)

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