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活動報告

公共サービス・ラーニング:おおさかこども多文化センター


 公共サービス・ラーニングでは受講生が学校、病院、自治体などの現場で実践家の人々とともに実際に様々な活動に従事して、多文化共生社会における実践的な能力を学ぶことを目的としています。大学院副専攻プログラム「未来共生プログラム」の履修科目として「公共サービス・ラーニング」を受講している植田泰史さん(人間科学研究科・博士前期課程1年)は、おおさかこども多文化センターで活動しました。植田さんからの報告をご紹介します。受け入れ先でお世話になったみなさま、ありがとうございました。

おおさかこども多文化センターでの活動を終えて

[写真1]「えほんのひろば」の会場

 昨年11月から、外国にルーツをもつ子どもたちの包括的な支援を行うNPO法人 おおさかこども多文化センター(オコタック)で活動をさせていただきました。主に毎月行われるイベントの運営やそのサポート、準備を中心に活動させていただきました。オコタックさんは、外国にルーツをもつ子どものための高校進学入試説明会や、後述する「高校生地下鉄ボランティア」といった子どもを中心としたイベントだけでなく、外国ルーツの子どもにかかわる教員や保護者を対象としたシンポジウム、言語サポーター同士の交流会の企画など、大人も対象としたイベントを数多く企画し、多文化共生の実現のために幅広く活動されています。

 オコタックさんと約半年間関わってきたなかでも、実際に外国ルーツの子どもたちと接する機会のあった「えほんのひろば」と「高校生地下鉄ボランティア」は特に記憶に残っています。「えほんのひろば」とは、日本に限らず諸外国の絵本を集めて読み聞かせを行い、それを足掛かりに絵本だけでなく、多文化も感じられるイベントです。当日は幅広い年齢層の方々に多く集まっていただくことができ、外国にルーツのある高校生が母語を使って絵本の読み聞かせを行う様子もみられました。「高校生地下鉄ボランティア」は、大阪府にある入試特別枠校を中心として、さまざまな高校から集まった高校生が地下鉄駅の切符売り場で外国人観光客の通訳と案内を行うものです。このイベントは大阪メトロの全面協力の下、12月22日から年始にかけて11日間行われました。自分たちの母語を使って通訳を行うという経験は、日常生活ではなかなか経験する機会はないでしょうし、プライベートな空間ではなく、いわば公的な空間で行われたことは、子どもたちのアイデンティティや自尊感情にとっていい影響を与えるように思われました。

[写真2]「高校生地下鉄ボランティア」の様子

 オコタックさんの活動のなかで最も強調したいことは、外国ルーツの子どもたちへの直接的な支援だけでなく、サポーター同士の関係づくりや外国ルーツの子を取り巻く状況を知ることができたり、意見交換できる場の創出にも取り組んでいるということです。オコタックさんは単なる「サポーター」としてではなく、学校、地域、支援者をつなげる重要な役割も担っているといえます。また、今回紹介した二つのイベントはその内容は全く異なりますが、双方に共通することがあります。それは参加していた子どもたちがいきいきと活動していたということです。子どもたちはそれぞれの在籍する学校や持つ背景が異なるにも関わらず、自信をもって笑顔で活動していました。外国ルーツの子どもたちはアイデンティティや自尊感情の醸成が難しいとされる場合もありますが、このようなイベントを通して彼らが活躍する中で、日本社会で外国ルーツの人々への理解と認知が広がり、共生社会の実現へ向けた兆しが創出されていければと考えました。

 

(2019年2月15日, 植田泰史)

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