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活動報告

公共サービス・ラーニング「大正・港区・枚方ツアー」のご報告

当日のチラシ
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 12月6日(土)および11日(木)に第3回「大正・港区・枚方ツアー」を行いました。Part 1(12月6日)において、ウォーキングコースと座談会を通じて、大正区に住んでいる沖縄ルーツの人たちの歴史と暮らしについて学び、また港区・区民センターで開催された「みなと人権展」を見学しました。Part 2(12月11日)では、枚方保健センターを訪問し、「血管アンチエイジング」と題した勉強会に参加しました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Part 1(前半): 大正区

[写真1]関西沖縄文庫の前

 今回の大正区におけるフィールドツアーでは、現在の整った姿からは想像もできないような当時の「ごちゃごちゃした」様子が語られました。ガイドを担当された金城宗和さんの個人史を交えながら寒空の下を共に歩くという体験によって、いま見えている景色から時間・空間的な広がりを強く感じることができました。昭和山は昔産業廃棄物の集積場であったこと、海抜0M地域であった大正区の中でも、「くぶんぐゎー」と呼ばれた地に沖縄人が多く集まられていたことなど、多くの参加者にとって新たな知見が得られたことと思います。平尾商店街を過ぎ、沖縄料理店「ぴないさーら」にて沖縄の味を満喫しました。その後、関西沖縄文庫にて各種映像資料、文献資料、また金城馨さんによる講話をふまえ参加者全員で自由に意見を交換しました。
 「多文化共生と言えど、あいまいな概念で現実にフタをするのはアカン。しっかり壁を作ってその壁のスキマでわちゃわちゃと交流するという考え方に賛成。」という方や、「知っているつもりだったが、新たに多くのことを学べて良かった。」また、「今後も引き続き考えて行動していきたい。」といった意見がえられたことは今回フィールドツアーを決行した、一つの大きな成果であるといえるでしょう。

Part 1(後半): みなと人権展

[写真2]みなと人権展のLGBTコーナー

 みなと人権展では、人権啓発に関するポスター、標語、パネルなどの展示物を拝見しました。「人権」や「差別問題」とひとくちに言っても同和、外国人、障碍者、高齢者、ハンセン病患者、性的マイノリティ、女性、DV被害者、介護者/被介護者等々さまざまな人が「社会的弱者」というカテゴリーにおかれ、周縁化されたり疎外されています。こうしたあらゆる「人権」についての啓発がなされていました。C班の木場が担当したのは性的マイノリティの人権啓発パネルです。パネルは全部で3枚あり、パネルのほかに「LGBTの家族と友人をつなぐ会」という団体の発行しているリーフレットも置いていましたが、リーフレットを取っていかれる方は多く、なくなったものもありました。展示物の見学の後は空室を使わせてもらい、この日のツアーの総まとめを皆で行いました。各参加者がそれぞれの経験や視点と照らし合わせて感想や考察を述べ、共有し合いました。
 
 
 
 
 
 

Part 2: 枚方市保健センター

[写真3]血管アンチエイジング健康教室(枚方保険センター)

 12月11日(木)に枚方市保健センターにて第3回フィールドツアーPart 2を行いました。枚方市は京都と奈良に面する大阪の県境に位置する都市です。交通が便利なベッドタウンで人口40万人を越し今年中核市になりました。枚方市保健センターでは、人々の健やかな暮らしを支えるために様々な保健事業を行っています。今回のツアーでは、「今すぐできる!血管アンチエイジング」いう健康教室に参加させていただいてから、保健センター所長、西岡様から保健センターの主な役割についてレクチャーを受けました。1時間半に渡った健康教室では、住民の方とともに体を動かし、健康を維持するための食事について確認しました。大学生や働き盛りの年代はなかなか保健センターの事業に関わる機会がないため、実際に講義を受けてみると塩分のことや、みそ汁のだしの取り方など普段何気なく摂取している食事に目が行くようになりました。また、毎日の運動を取り入れる方法を具体的に考える良い機会になりました。保健センターの役割についての講義では、がん検診について私たちにとっても関連があり、興味深く、検診受診の必要性を再確認しました。がん検診はそのうち行こうと思いつつも、その必要性が自分のこととして意識しにくいなどの意見が出ました。がん検診、健診の受診率を上げるために、メリット・デメリットをわかりやすい形で伝えていくことなど、今後の課題が見えました。
 ご協力いただいた関西沖縄文庫、港区役所、そして枚方市保健センターの皆様に御礼申し上げます。

参加者(木場安莉沙)の感想

 関西沖縄文庫のフィールドツアーで印象的だったのは「マイノリティの正しさはマジョリティの正しさに負けてしまう」という指摘でしたが、同時にディスカッションの中で出た「『日本人』にも『沖縄人』にも様々な立場があるのではないか」という論点は非常に重要であったと思います。確かに「日本人」「沖縄人」という構図は二項対立に陥りやすいでしょう。対立ではなく「対比」だと金城馨さんは言いましたが、対立と対比は切り離された別個の概念というよりは連続体であり、その二項の間はグラデーションであるように私は思います。同様に、「差異」と「排除」や「受容」と「同化」の間もグラデーションです。その中でバランスを取る難しさが諸問題にあるように思います。
 また、港区役所による人権展のパネル展示では私が協働で製作したものを展示して頂きましたが、製作の上で行政の立場からのLGBT人権啓発へのアプローチの難しさと、当事者の観点と行政の観点の齟齬とでも言うべき困難を経験しました。先述の論点を引き継いで言うと、行政の「正しさ」と私の「正しさ」には食い違いがあります。またそれだけでなく、私以外のLGBT当事者の「正しさ」や行政のような公権は持たないマジョリティの「正しさ」もまた違うでしょう。また、行政機関としての展示物には「公的に正しいとされる」ものでなければならないというような規制があると言えます。つまり国やそれに準ずる公的機関による出典でなければ掲示し辛いというものですが、そもそも公的に行われたLGBTの実態調査は極めて少ないのです。ここに行政のパラドックスがあります。
 枚方市保健センターでは市民健康講座に参加し、センター内を案内して頂きました。市民健康講座では心筋梗塞や脳卒中につながる塩分過多を防ぐ食事の摂り方についてレクチャーを受けて、高齢の方でも続けやすいストレッチを実際に皆で行いました。後半のセンター内の案内では、各部屋の機能を知ることでこれまで訪れたこともなかった保健センターの役割を認識するとともに、その役割が実に多岐にわたっていることを確認しました。中でも印象的だったのは子どもの日常生活における危険回避をレクチャーする部屋で、家具で頭を打ったり服の一部をひっかけたり、赤ちゃんならソファからの転落など、人形と家具のセットで分かりよく展示してありました。このような試みは初めて目にしましたが、画期的であると思います。可能ならレクチャーの様子を録画し配信するなどしてもいいのではないでしょうか。

 
 

(2015年1月20日, 仲田幸司、木場安莉沙、三好裕貴)

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