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活動報告

プロジェクト・ラーニング(「まちと人と共生」班の報告1)


第1回 大人の遠足: 多文化にともにいきるまち: 大阪茨木・豊川を歩く*

*「大人の遠足」はヒューライツ大阪の企画です。第2回はヒューライツ大阪と未来共生プログラムの共催で開催予定です。第3回はヒューライツ大阪の主催で開催予定です。

当日のチラシ
PDFファイル(英語版)

 2014年5月31日、真夏のような陽射しが照りつける中、今年度第一回目の「大人の遠足」を実施しました。今年度は、ヒューライツ大阪と大阪大学未来共生プログラムが共催して企画することになり、第1回目は、未来共生プログラムの大学院生が中心になって「多文化にともにいきるまち―茨木・豊川を歩く」というタイトルで企画をたてました。もともとは豊川地区にあるモスクに注目し、「暮らしの中にあるイスラーム」というテーマでの企画を練っていましたが、企画を進めていく中でいろんな方のお話を伺いながら、モスクのある豊川地区の方へと焦点が移動していきました。
 豊川地区は、被差別部落としての歴史を持つ地域です。差別との戦いの歴史を持つこの地域は、現在では社会的、文化的背景の異なる様々な人たちが暮らすまちへと姿を変え、「多様性」を力にする活気あるまちづくりが行われています。今回の企画では、被差別部落であった豊川地域の歴史的な側面を踏まえながら、豊川地区にあるコリア国際学園や大阪茨木モスクを訪問場所として訪れ、多文化共生を実践している豊川地区の在り方を肌で感じてもらうことを目的としました。

[写真1]まちあるきの案内をして下さった福田さん

 イベント当日は、まず地元の部落解放同盟の青年部長である福田憲和さんの案内のもとで、何気ない建物が持つ「闘い」の歴史や、一つひとつの町並みに宿る物語を自らの経験を通して語っていただきました。また、まちあるきでも訪れたコリア国際学園の事務局長である宋悟(ソン・オ)さんからは、コリア国際学園設立までの流れから現在までを振り返り、地域との様々な関係性の中でコリア国際学園が作り上げられてきたこと、そしてこれからは豊川地区にある「豊かさ」を活かした学校及び地域づくりをより一層目指していくという意気込みが語られました。豊川在住で大阪芸術大学の教員でもある北口学さんからは、豊川地区に関する幅広いお話をしていただき、江戸時代前後の豊川地区のお話から現在のイスラム教徒の方たちとの交流のお話まで、豊川地区の語りつくせない魅力が語られました。そして、まちあるきの最後には大阪茨木モスクを訪れ、モスクのイマーム(指導者)であるモフセン・シャーキルさんからのお話を伺いました。普段見ることも触れることもなかったイスラム教の世界を、分りやすく丁寧に説明してくださり、お祈りの様子も見学させていただきました。現在は一般的な住居に絨毯を敷き、そのままの形でモスクとして利用していますが、将来は「モスクらしいモスク」の建設を目指しておられるそうです。
 豊川地区の素晴らしいところは、コリア国際学園やモスクが、ただ単にその地区に存在しているというだけではなく、地域の構成員として、スポーツなどを通した盛んな交流が行われていることです。コリア国際学園が設立される際には、ごく一部の地元住民から、民族的な理由によって反対運動が起こったそうです。結果的に、無事建設されるにいたりましたが、被差別の側である自分たちが、差別する側に立ってしまったという経験は、豊川地区にとって禍根を残すものになったと、福田さんは語っておられました。モスクに至っては、地域の中で、そのような施設ができるという情報が共有されていないなかで、「気づいたらそこにあった」という状態だったそうです。決して、初めから「共生しましょう」といって始まったわけではなったのにも関わらず、同じ地域に暮らしていく中で、互いとの交流を大切にしてきた結果、今の関係が築き上げられ、「多文化共生」のまちへと変わっていったのだと思います。実生活において「多文化共生」を実践している地域の皆さんのお話を聞き、そのまちを歩いてみるという経験は、卓上では得られない実感としての理解につながる貴重な機会でした。

[写真2]学校作りについて語られる宋さん

[写真3]イスラム教について説明して下さるイマーム(指導者)のモフセンさん

 今回、私たち学生の1つの大きな目標は、「若者」を企画に呼び込むことでした。「大人の遠足」をはじめ、ヒューライツ大阪の多くの企画の参加者に、20~30代の若い世代がほとんど見られないことへの問題意識があったからでした。今回の企画は大阪大学吹田キャンパスの周辺ということもあり、大阪大学の学生への呼びかけを積極的に行った結果、10代の方2名と、20代の方10名に参加していただくことができました。10~60代の様々な世代が交流するきっかけとなる企画となったという点も、一つの成果と言えるのではないかと思っています。 また、参加者へのアンケートでは、ほとんどの参加者の方から「よかった」「とてもよかった」という評価をいただくことができました。
 初めてのイベントの企画・運営であったにも関わらず、多くの方に「よかった」と言ってもらうことができたのも、豊川地区という地域の魅力と、この企画にかかわってくださった皆様のおかげです。心からの感謝の意を示すとともに、第2回の企画にも精一杯とりくんでまいりたいと思います。

 

(2014年7月9日, 「まちと人と共生」班一同)

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