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活動報告

3期生のプロジェクト・ラーニングのご報告(『小さなくりの木会23年のあゆみ』作成プロジェクト)


 3期生のプロジェクト・ラーニングのご報告です。今回は『小さなくりの木会23年のあゆみ』作成プロジェクトを企画した西澤歩未さん(人間科学研究科・博士前期課程2年)からのご報告です。同プロジェクトのメンバーは西澤さんと伊藤莉央さん(人間科学研究科・博士前期課程2年)、小泉朝未さん(文学研究科・博士前期課程2年)、眞浦有希さん(医学系研究科保健学専攻・博士前期課程2年)です。同プロジェクトは豊中社会福祉協議会の皆さまからの協力を得て、「小さなくりの木会」を中心にイベントを企画しました。以下、西澤さんからのご報告です。

「できる」が一人ひとりの生きがいにー高齢者と地域をつなぐ小さなくりの木会の活動記録

 わが国では他国と比較して急速に高齢社会が進行しており、75歳以上の後期高齢者の増加が予測されています。2000年の介護保険制度の施行に伴い、官民の介護サービスが従来の家族内介護の代替サービスとして、重要な役割を果たしています。介護体系の多様化が進んでいる一方で、重度の要介護認定の高齢者の増加や福祉人材の不足など、公的な制度の運用のみでは、十分に対応できない課題が残されている現状もあります。また、従来の家族内介護が困難になっている現在では、特に独居高齢者において、住み慣れた地域から離れて暮らさざるを得ないという課題もあります。そんな中、高齢者が地域で自立した生活を営めるような「地域包括ケアシステム」の確立が急務となっています。

[写真1]インタビュー風景①

[写真2]インタビュー風景②

 今回、私たちがお世話になった団体は、豊中市桜塚校区で活動を行なっている「小さなくりの木会」(以下、「ミニデイ」)です。2016年2月に活動500回を迎え、同年11月に23年目を迎えます。活動は、月に2回(隔週月曜日)行なわれており、公的な介護保険制度によるデイサービスとは異なり、スタッフは住民ボランティアであることが特徴の1つです。利用者とスタッフの年齢が近いことや、スタッフの数が利用者の数を上回ることなどから、参加経験の浅い人だと、利用者とスタッフの区別がまったくつかないことも特徴の1つとして挙げられます。

 プロジェクトの内容を決定するにあたって、ほとんどの学生が高齢者福祉やデイサービスに対して見識がありませんでした。そのため、まずは実際の活動に参加しながら、私たちに何ができるのかということを考えていこうということになりました。

 ミニデイに参加し始めた当初は、ミニデイに新しい風を吹き込むことを前提に活動を進めていくつもりでした。しかし、実際にミニデイへの参加を継続していくと、利用者とスタッフ双方が居心地良く過ごしている空間があることを実感しました。介護される側、介護する側の関係が固定されがちな通常のデイサービスとは異なり、利用者とスタッフが対等な関係でお付き合いしていることが、そのような居心地の良さを生み出していると感じました。

 そのようなミニデイの空気に触れることで、私たちのプロジェクトの目的は、活動を変化させることではなく、残すことに変わっていきました。2016年が、活動開始から500回の節目の年であること、先方も活動記録を残すことを希望されていたことから、『小さなくりの木会23年のあゆみ』として、記念誌を作成するというプロジェクトを実施することを決定しました。記念誌では、利用者やスタッフからのメッセージ、利用者や家族、ボランティア、校区福祉会会長、介護者家族の会会長など、様々な当事者へのインタビューを中心に編集しています。記念誌の完成は、2016年9月を予定していますが、完成後、可能であれば、介護すること、地域で共に暮らすこと、「高齢者と共生する地域」を考えるツールとして活かせるような方法を模索していければ良いなと考えています。

[写真3]集合写真

 私たちは、今回のプロジェクトで、どこにいても地域の中に再び戻って来られる場所、生きがいを感じられる場所として、ミニデイが高齢者にとって非常に重要な役割を果たしていることを強く実感しました。次の担い手の育成など、活動を継続する上での課題は残されていることは確かですが、可能な限り、活動が続くことを願うばかりです。記念誌では、ミニデイの活動の様子や、スタッフと利用者の23年間の思いをそのまま形に残すことで、これまでの活動をそれぞれで振り返り、今後の活動のための1つのツールとして、役立つものになれば幸いです。

 最後になりましたが、今回のプロジェクト・ラーンニングでお世話になったすべての方々に、お礼を述べて、本報告を締めくくりたいと思います。皆さま、本当にありがとうございました。

 
 

(2016年8月31日, 西澤)

 

 
 
 

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