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活動報告

沖縄研修「名桜大学における対話プログラム及び『共生』の実地調査」のご報告


[写真1]ガイドしてくださった名桜大学、琉球大学の学生のみなさんと

[写真2]名桜大学の学生と対話

 2017年1月20日(金)から1月23日(月)まで、沖縄研修「名桜大学における対話プログラム及び『共生』の実地調査」が実施されました。未来共生プログラムでは、「未来共生の哲学と諸課題」(本間直樹准教授[COデザイン・センター]、高橋綾非常勤講師[COデザイン・センター]、平沢安政教授[人間科学研究科])の授業で、多様な人びととの「共生」にとりくむために大切な対話やセーフティについて学んでいます。昨年度までの研修では、子どもの哲学(p4c; philosophy for children)を実践しているハワイの学校に訪問しました。今年度は、舞台を移し、沖縄・名桜大学看護学科(鬼頭和子准教授、平上久美子准教授)で行われている対話プログラムに参加しました。研修には、プログラム四期生の王一瓊さん(言語文化研究科・博士前期課程1年)、神谷千織さん(医学系研究科・博士前期課程1年)、金世貞さん、杉本龍一さん、陳思源さん(以上、人間科学研究科・博士前期課程1年)、林貴哉さん(文学研究科・博士前期課程1年)の6人が参加しました。

 参加した対話の場は、まず「語れない想いのBar(フクロウの会)」という学生の自主活動でした。「人に話せない想いやコトバにすることのできない想いを言葉にしたり、気をゆるめられる場」として開催されています。わたしたちが名桜大学に到着してすぐ、夕方に始まりました。この日のテーマは「多様な性と生を考える」で、名桜大学の学生の輪のなかに履修生も加わりました。その場で聴いたことは場を離れて他人に話さないというルールがあります。そうしたセーフな場で、参加者がそれぞれの「性と生」を言葉にしました。ある履修生は、この日の経験を、「自分は心を閉ざしていたのに、相手は花を持って笑顔で待っていた」と表現し、そこには信頼と支え合いと笑顔があったと話しています。

[写真3]ビフレンディング活動の看板(部屋の入り口)

 もう一つの対話の場は、「ビフレンディング活動」です。ビフレンディング活動とは、精神障害者への一般住民によるボランティア支援活動のことで、「Be+friend+ing」から生まれた造語、「友だちになる」「寄り添い支える存在になる」という当事者の話を聴く活動です。鬼頭ゼミでは、精神科病院で長期入院する精神障害者を対象に、すでに在宅生活を送っている当事者と名桜大学の学生がボランティアとしてかかわっています。初めて精神障害者と接する履修生は研修の前に緊張や不安を抱えていましたが、活動が始まるとそれらは無くなり、あっと言う間の楽しい交流時間だったと言います。レクリエーションを一緒に楽しみ、ドーナツを一緒に食べるなかで、「精神障害者」ではなく、いま目の前で会話をしている「〜さん」という存在に変わり、ちがいよりも共通する部分が多いことに驚いたと、ある履修生は言いました。「会えてよかった」と言ってもらえたことがとても心に残ったと言う履修生もいます。これまでの自分の「あたりまえ」と思っていたことやステレオタイプが崩れていき、そこから関係性がつくり直されたと言えるかもしれません。ビフレンディング活動の振り返りにはp4cが用いられていて、対話と探究、セーフティな場づくりが重視されています。今回の終了後の振り返りでも、両方の学生が円になって座り、場づくりやセーフティの話から、それぞれの専門性や抱える悩みまで、時間を忘れて遅くまで話し合われました。

[写真4]辺野古にて

 対話プログラムへの参加ともう一つ目的だったのが、沖縄の現状を自分の目で見るということです。日本の面積の0.6%である沖縄に、在日米軍基地の74%が集中しています。このことから起こるさまざまな問題、それに対する取り組みを肌で感じるために、名桜大学と琉球大学の先生や学生の方々の協力を得て、見て回ることができました。辺野古の新基地・海上ヘリ建設の現場を訪れ、沖縄における基地建設とそれに抵抗する市民運動の歴史や現状、自然環境や自然保護について話を聞きました。また、高江の米軍北部訓練所ヘリパッド建設の現場にも行き、それに抵抗する座り込みの方々や地元の人からも話をうかがいました。大阪から沖縄を眺めていてはわからないということを、行って目にして話を聞き、実感しました。沖縄の基地問題ではなく、日本の基地問題であり、そのことを見ようとしないわたしたちの問題だと再認識させられました。アメラジアンスクール・イン・オキナワへは最終日に訪問しました。アメラジアンスクールでは、アジアとアメリカの両方にルーツをもつ「アメラジアン」の子どもに対して「ダブルの教育」が実践されています。「教育」や「居場所」に関心をもつ履修生も多く、それぞれの共生にかかわる研究テーマと重ね合わせ、授業見学やその後の意見交換などが活発に行われました。

 3泊4日という短いスケジュールで、次の現場や次の話題に行っても前のことが消化しきれず、疑問や関心、気持ちが積もり重なっていくのを感じる沖縄研修でした。しかし、それこそが「共生」の課題です。共生にかかわって多くの示唆を得、人との出会いのある研修となりました。これからのプログラム活動、それぞれの研究活動の中で少しずつ消化させながら、「共生」について深め、セーフな場づくりや対話に取り組んでいきたいと思います。

(2017年2月15日, 今井)

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