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活動報告

授業レポート「未来共生多言語演習I」(H25年度:金曜6限開講)

[写真1]トルコ語TAギュネシさんから、トルコ語の基本的な表現を学びます。

 「未来共生多言語演習」は、これまで学習経験のない外国語を用いて最低限のコミュニケーションを取れるようになること、また、この過程を通じて言語習得における新たな学習方法を獲得することを授業の目的として掲げています。しかも、半期の授業で「これまで学習経験のない外国語」を3つ――トルコ語、ベトナム語、インドネシア語――を学習します。授業を担当する岩居弘樹教授(全学教育推進機構)の専門はドイツ語であり、上記3言語についての「専門家」というわけではありません。では、どのようにこの授業は展開されていくのでしょうか。
 
 この授業では、各言語のネイティブスピーカーである3名の留学生がTAとして各言語の「先生」役を務めています。それぞれの言語にはそれぞれ異なった文法規則がありますが、この授業ではとりあえずそのような知識は一旦脇に置いて、「先生」から発音の基礎や基本的な会話表現を学ぶことで未知の言語へと飛び込むことになります[写真1]。
 

[写真2]音声認識アプリを使って、自分の発音を確認中。

 このように「話す」準備が整ったところで強力な味方となるのがiPad-miniです。まず、音声認識アプリを起動し、自分が正しく発音できているかを確認します。自分は“Chào chị”(「〔女性の友人に対して〕こんにちは」:ベトナム語)と言ったつもりでも、“Cho chị.”と微妙にずれてディクテーションされてしまったり、あるいはまったく思いもよらないスペリングでディクテーションされてしまったりと試行錯誤が続きます〔写真2〕。どうしても発音がうまくいかないときには、TAに発音してもらって、アドバイスをもらいます。このときに注意するのは、口のかたちなど音声以外の要素です。この授業では、こうした過程を「言葉を発するための筋肉トレーニング」ととらえています。

[写真3]オリジナルスキットの作成中、ベトナム語TAのランさんからアドバイスをもらいます。

 
 さて、「筋肉」がついてきたら、次はスキットのシナリオ作成へと入ります。3人程度でグループを作ったら、最初に習った基礎会話表現に肉付けしてオリジナルのシナリオを作り上げていきます。ここでまたiPad-miniの出番です。言語学習アプリを起動し、そこに収録されている表現を参考に自分たちのスキット文脈に合うよう応用していきます。こうした応用の文法的正しさをチェックするのもTAの役目です〔写真3、4〕。完成したシナリオをもとに、グループで会話練習を行います。この練習が自分のパートの暗誦だけでなく、会話のシチュエーションに合わせた演技を伴っているのは、それぞれの言語学習の成果としてスキットを撮影したビデオの提出が課されているためです〔写真5〕。

 
 撮影は、授業の行われているマッチング型セミナー室だけでなく、ステューデントコモンズ内のあらゆる場所を舞台にして行われます。NGに次ぐNGのあと、ようやく「OK」となった映像を確認し、自己評価・相互評価を行ったら、達成感に満ちた笑顔とともにその言語の履修は終了となります〔写真6〕。

 

[写真4]完成したオリジナルスキットをインドネシア語TAのジュマディさんにチェックしてもらっています。その様子を撮影する岩居先生。

[写真5]オリジナルスキットをグループで練習中。

[写真6]撮影したビデオをチェックしながら、自己評価・相互評価を行います。

 たった半期で「これまで学習経験のない外国語」を3つ、と聞くと、途方もない試みであるように感じることでしょう。しかしながら、新しい言語を前にしたとき、自然と湧きあがってくる「表現したい」という欲求を最大限に生かしてみるのも、言語習得の有効な一手ではないでしょうか。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
未来共生多言語演習I(平成25年度2学期 金曜6限)
担当教員:岩居弘樹(全学教育推進機構教授)、神田麻衣子(未来戦略第五部門特任助教)、田川千尋(同)

履修スケジュールと中心的な担当者は次の通り:
第 1~ 6週:トルコ語〔ウステュネル・ギュネシ(TA:言語文化研究科)〕
第 7~11週:ベトナム語〔ニユエン・テイ・フーン・ラン(TA:人間科学研究科)、
清水政明(言語文化研究科准教授)、近藤美佳(言語文化研究科)〕
第 12~14週:インドネシア語〔ジュマディ・ヨギ(TA:文学研究科)〕

(2014年2月9日, 神田)

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