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活動報告

海外インターンシップ(3期生: ハワイ)


 3期生の海外インターンシップのご報告です。未来共生プログラムでは3年次に半年ほど様々な国でNGP、NPO、学校の公的組織でインターンとして活動します。小泉朝未さん[文学研究科・博士後期課程2年]はハワイで芸術体験プログラムに関わりました。以下、小泉さんからです。

マウイ文化芸術センター:芸術を通じた共生の試み

[写真1]詩のパフォーマンス大会:優勝者発表の様子

 インターンシッププログラムの一環で、私はマウイ芸術文化センター教育部署での研修を行いました。このセンターは、ハワイ・マウイ諸島の教育機関と連携し、子どもや若者へ芸術によって表現をする機会を与えるとともに、センター内の劇場を活用した芸術体験プログラムを住民に提供しています。センター独自の試みとして、芸術を通じハワイという地域的民族的特性を理解し、自らのアイデンティティを表現することに芸術が活用されています。アメリカでは、貧困などの社会的背景から学習に問題を抱える若者に、芸術を通じて、学習をサポートするプログラムが普及しています。ハワイは環太平洋地域という特性から、日系人を含め、先住民、ミクロネシア移民など肌の色が異なる多民族で社会が構成されています。アメリカの芸術統合型教育を土台として、学習サポートだけでなく、自分自身のルーツや経験を表現し、互いに尊重し合うために芸術を用いる複数のプログラムをセンターは用意しています。そのようなプログラムの実施方法やマネージメントの在り方、そして共生社会に向けた芸術の役割を知るためにインターン受入れをお願いしました。

[写真2]劇場のバンヤンの木をモチーフにダンス作り

 実際にプログラムを見て驚いたのは、ハワイという文化意識を根っこに据えながら、言葉やからだで表現することが行われていたことでした。自然の中にあるパターンを共通テーマにダンス、劇場の中で音楽、演劇、美術で表現をする子どもの芸術プログラムでは、マウイの中にある自然の風景や歴史がテーマになります。またハワイの伝統詩や舞踊(フラ)についての語りがまとめられたアンソロジーを皆で読み、それと自分のルーツや現在暮らしている土地や共に暮らしている多様な人々とのつながりを見つけるために、生徒が土地や人々についての歌詞を自作し、歌にして披露する授業も行われていました。

 文化的な意識を育てるのには、伝統舞踊などを体験するといったイメージがあった私には、上記のようなプログラムほか、iPadを用いたり、詩作や対話を通じた創作というコンテンポラリーアートの表現形式が、土地の歴史を振り返り、西洋の伝統に根ざした表現を超える可能性を持って用いられていることが新鮮でした。アメリカ本土と比較し、教育システムにおいても周縁化されてきた歴史に抵抗する試みが興隆するハワイの教育を背景に、センターの教育プログラムも人々の主体的な表現の機会を作るために実施されているとのことでした。表現する場を作ることで自分や他者を理解するきっかけとなることを確認した研修でした。日本では不可視化されがちな多様な地域的、民族的差異を表現でき、理解し、認め合う場を作ること。研修を通じて将来への大きな課題と夢を持ちました。そして芸術というものが社会に必要であるという考えを共有する多くの友人と出会うことができたことが、夢の実現に向けて日々背中を押してくれています。

 

(2018年7月28日, 小泉)

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