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活動報告

「インターナショナルシティHIRAKATA―子供のいる外国人家族と保健センターをつなぐプロジェクト」(プロジェクト・ラーニング枚方班)のご報告


 枚方班(2期生: 崔美善[医学系研究科]、崔鍾煥[言語文化研究科]、波田野希美[医学系研究科]、三好裕貴[医学系研究科])では、メンバーの一人である三好の前年度の公共サービスラーニングの経験を引き継いで、枚方市在住の外国人住民(主に乳児を持つ女性)が枚方市保健センターのサービスをより利用しやすくなる契機になることを目指し、外国人住民向けの離乳食講座を企画することになりました。それに伴い、講座を企画・開催するための予備調査として大阪府在住の外国人女性たちに聞き取り調査も計画しました。4月には、メンバー全員で既存の離乳食講座を見学し、また、とよなか国際交流センターにて聞き取り調査を行いました。

[写真1]生涯学習市民センターで開催されている日本語よみかき教室にてインタビューを実施した。写真は牧野生涯学習センター前にて

 しかしながら、インタビューやグループでの打ち合わせを通し、離乳食講座を開くだけでは外国人住民のためになる事業を保健センターで提供できるようにしたいという目標に到達できないのではないか、という結論に達しました。これを踏まえて、5月末から実施計画を修正することになり、離乳食講座に加え、外国人住民の実際の声を聞くことでニーズを把握すべく、枚方市教育委員会社会教育課の進藤和也氏と、日本語・多文化共生教室「よみかき」(以下、よみかき教室と記載)から協力を得て、インタビュー対象者を枚方市の外国人まで拡大し、枚方市保健センターと共同でアンケート調査を実施することとなりました。

 インタビュー調査は、2015年6月から7月にかけて合計20名にお話を聞くことができました。

 よみかき教室の受講者にお話を伺ったこともあり、「言葉がわからないと、受けることができるサービスの内容や(それを受けることができる/できない)理由がわからなかった」、「先生は優しいけれど、受診した際、病院での説明をするのも、説明を受けるのも難しい」といった、言語面に関する困難について多くの思いを聞き取ることができました。

 また、「こどもがいればママ友もできるけど、困った時に相談できるような日本人の知り合いはあまりいない」などの、日本人の頼りになる友人がいない、また友人を作る環境がないという課題も浮かびあがりました。

[写真2]配布したアンケート。日本語に加え、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語に翻訳された。

 このインタビューを受けて、アンケートを作成し、調査を実施しました。アンケートは6言語に翻訳し、21部が回収されました。

 枚方市での生活における困難について尋ねたところ、言語面の困難に加え、役所や学校の届け出・申請の困難、母国語のものの入手困難などが上位に挙げられました。

 また、保健センターの利用状況を尋ねたところ、利用経験のある人は全員、今後も利用したいと回答しており、保健センターに対し好印象をもつ一方、利用経験のない人からは、言葉が通じないため行っても意味がないのではないか、という不安をもつ人が多いことがわかりました。

 インタビュー調査やアンケート調査を通して外国人住民の生の声を聞くことは、これから離乳食講座を実施する我々にとって、参加者について知ることができたという点で、とても貴重な経験でした。また、保健センターや進藤氏の「外国人住民について知りたい」という思いや、外国人住民の「もっと知ってほしい」という思いを聞くことで、枚方市や外国人住民にとっても価値のあるものにするために、この結果をフィードバックする重要性も感じました。

 離乳食講座では、グループ会議での議論から何度も方向性の修正を加えながら、保健センターで外国人住民の参加しやすい事業として離乳食講座を実施できるという目的のもと、「わくわく多文化交流離乳食講座」という名前で、7月23日(木)に開催しました。

 外国人住民と日本人が半数になることを目標に、定員を20名とし、離乳食に興味のある人ならだれでも参加できる離乳食講座として、参加者を募りました。

 日本人参加者の募集には、保健センターの協力のもと、健診でチラシを配布したり、地域によっては回覧板を回したり、ホームページに掲載したり、メールマガジンを送信したりしました。また、外国人参加者募集のためにチラシを翻訳し、保健センターに来た外国人住民に配布したり、直接電話をかけたり、保健師さんと共に家庭訪問に行ったりして宣伝をしました。他にも準備として、外国人にもなじみのある食品を使った献立を作成したり、レシピや資料をよりわかりやすい日本語に変えたり、中国語や韓国語への翻訳をしました。
 
 その結果、外国にルーツのある方が4名、日本人が12名、合計16名が参加してくださり、当日、居住地域や国籍等を考慮して4つの班を作りました。講座は主に簡単な日本語で進められ、保健センターの栄養士から簡単に離乳食に関する説明が5分ほどあり、その後は各班についた栄養士さんと学生の誘導のもと、離乳食作りが進められました。

 献立は、離乳食を開始したばかりの5~6か月児向けのものから、大人の食べるものを取り分けて作ることができるようなメニューまで、広い発達段階に対応できるように工夫しました。2つの班が白身魚のすり流し(5~6か月児向け)、ホワイトソース(7~8か月児向け)、ハンバーグ(取り分けメニューで9~11か月児・12~18か月児に対応)を作り、残りの2つの班がほうれん草のペースト(5~6か月児向け)、さつま芋とりんごの共煮(7~8か月児向け)、魚の揚げ煮(12~18か月児向け)の計6品を調理しました。

[写真3]講座で作った離乳

[写真4]グループに分かれて調理している様子

 その後の交流を兼ねた試食タイムでは、参加者は離乳食の試食をしながら、お互いの子どもの話を聞き、栄養士に子育てや離乳食について相談している様子が、どの班でも見受けられました。外国の子育て事情や離乳食等についても、各班、話が盛り上がり、日本語が苦手な外国人ママも日本の調理方法や子育て事情に関して熱心に聞き、会話の輪ができあがり一緒に盛り上がっているようでした。各自、帰りの準備をする頃には、同じ班同士で連絡先を交換したり、記念写真を撮ったり、次に合う約束をする班もありました。

 離乳食の調理実習や試食の時間を通して参加者同士の交流が盛んに行うことができ、離乳食という共通の切り口から交流を深めるという視点は成功だったと感じます。終了後のアンケートからも、「また今後もこのような機会があれば参加したい」という意見が多く、教室への満足度は高かったと思います。ただ、あらゆる手段でアプローチを試みたにも関わらず、外国人の参加者が少なかったことが残念でした。この理由や、今後の保健センター利用の視点を含め、今回のプロジェクトがイベントで終わらないよう、このプロジェクトで得たものを、次に繋がる形で枚方市にお返しできればと思います。

 最後になりましたが、私達、4名の大学院生に学びの場を提供していただき、共に活動をしていただきました全ての関係者の方々に、深謝致します。本当に、ありがとうございました。

(2015年9月1日, 波田野)

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