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活動報告

北海道研修(2017年度)のご報告


2017年11月3日(金)から7日(火)の日程で北海道研修を実施しました。未来共生プログラムでは、様々な共生の課題に取り組む際に、セーフティな場づくりや対話を大切にし、これまで多くの現場で哲学教育プログラム(子どもの哲学 p4c; philosophy for children)の研修を実施してきました。昨年度の沖縄研修に続き、今年度は北海道で研修を行いました。履修生は神谷千織さん(4期生; 医学系研究科・保健学専攻)、島本奈央さん(5期生; 国際公共政策研究科)、瀬戸麗さん(5期生; 人間科学研究科)が参加しました。以下、瀬戸さんからの報告です。

北海道研修についてのご報告

[写真 1]白老町のアイヌ民族博物館に並ぶチセ(家)

[写真 2]二風谷アイヌ文化博物館館内にて

研修の前半は白老町のアイヌ民族博物館、二風谷アイヌ文化博物館、萱野茂二風谷アイヌ資料館、二風谷ダムを訪問・見学し、学芸員や館長の方からお話を伺いました。後半は精神障害等を抱えた当事者の生活拠点である「浦河べてるの家」に伺い、朝のミーティングや当事者研究の活動を見学し、その後生産活動としての昆布の袋詰めを手伝わせていただきました。

前半ではアイヌ文化や歴史、和人とアイヌの共生について考え、理解を深めました。白老と二風谷の両地域を訪れることができたのはとても貴重な経験です。生活道具の地域差をはじめとして博物館のコンセプトの違い、文化伝承の違いなども見聞きすることができました。その中で最も印象的だったのは、アイヌ文化やアイヌ語を子どもたちに伝える、アイヌの方の生き生きとした姿です。ニュージーランドマオリ族の教育を参考にしながらアイヌ語を教えたり、学校でアイヌの文化を教えたりする方々の話からは、とても大きなパワーを感じました。

後半で見学した「べてるの家」の当事者研究は想像以上に動的で温かいものでした。当事者研究とは似た症状をもっている当事者同士の研究活動で、「誰しもが持っている生きにくさを仲間と共に共有し、研究というアプローチから深めていくもの」と説明されています。仲間といっても前提となる世界観は一人一人異なり、自分の世界観を背負いつつ仲間の世界観に寄り添わなくてはなりません。その時に皆さんが拠りどころとされていたのが共通の症状“幻聴さん”であり、これが互いの世界観を理解する糸口とされていたように思います。素朴な疑問を互いに投げかけたり寸劇のようなものをしたりしながら、“幻聴さん”が現れる原因や“幻聴さん”と付き合っていく方法などを追究されていました。「べてるの家」の見学後、私も大学の先生や友達と当事者研究に挑戦をしてみましたが、二重の難しさを含んでいると感じました。それは自分の世界観について詳細に説明すること、自分の世界観を客観視することの難しさです。当事者研究は正直かつ冷静に自分と向き合うだけでなく、仲間の声に真剣に耳を傾ける姿勢があってこそ成立するものだと思いました。

(2017年11月30日, 瀬戸)

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